ピアノの演奏に欠かせないのが、専用のピアノ椅子です。
現在よく見かけるピアノ椅子は、トムソン椅子(背付き椅子)、ベンチ型、油圧式の3種類。それぞれ特徴があり、高さの調節方法も違います。
今回は
- 高さの調節方法
- 使用上の注意点
など、ピアノを弾く人なら知っておきたい『ピアノ椅子についての情報』をまとめてみました。
ピアノ椅子の知識と調節方法はなぜ大切なの?
「ピアノ椅子の高さ調節なんて、一度もしたことないなぁ。なんのためにするの??」という人もいるかもしれませんね。
自宅でピアノを使うのが自分ひとりならば、そう思っても無理もないのですが…
人前で演奏したいと考えている人は、演奏前にピアノ椅子の高さを確認して調節をする習慣をつけましょう。
なぜなら、人によって最適な椅子の高さは違うからです。

前にピアノを演奏した人と「自分に最適な高さ」とは、10センチ違うかもしれません。10センチの差は大きいですよ〜
ピアノ椅子を調整する習慣がないと「今日のピアノ、なぜか弾きにくいなぁ…」とどこかで感じながら、変な姿勢で弾いているかも。。。
トムソン椅子(背付き椅子)〜独特の調節方法

現在うちのピアノ教室で生徒さん用にしているのが、トムソン椅子(背付き椅子)です。小中学校や一般的なスタジオでもよく見かけます。
いかにも『ピアノ椅子』という見た目のトムソン椅子。高さの調節方法は独特です。
トムソン椅子の高さ調節方法

座面のうしろで高さを調節します。
まず、上のストッパーレバーを右側にします。次に、下のレバーを握りながら(そこそこ力が必要な椅子もあり)高さを上下します。

ミゾに合わせて段階的に止まるようになっています。

ここで注意点が2点。
- 高さ調節を終えて座る前に上のストッパーは中央に戻しておくこと
- 左右の溝の高さが合っているか確認すること
ストッパーが解除されたまま椅子に座ると、ガタッ!と座面が下に落ちてしまう可能性があるので危険です。
また、左右の溝が合っていないと(右が上から5個目、左が上から6個目など)、座面が斜めになってしまいます。
特徴とメリット・デメリット
- 調節方法が独特だけれど、慣れればすばやい調節が可能
- 左右のミゾが目安となるので、自分の最適な高さを決めやすい
- 椅子は軽めで、小柄な人でも持ちやすい
- 座面がほぼ正方形なので、狭く感じる人もいるかも?
- クッション性が少ないタイプでは、長時間練習は疲れるかも?
- 古くなると、キィキィ雑音がしてくる
調節方法に慣れるまで数回程度かかりますが、慣れてしまえば調整はかんたんです。
例えばあらかじめ「自分の高さは上から5番目のミゾくらい」と決めておくのも、ある程度の目安となるでしょう。
ただしピアノによって鍵盤の高さが違いますので、絶対ではありません。
ベンチ型〜自宅用に持っている人が1番多い型

今はご自宅用にこの形のピアノ椅子をお持ちの方が一番多いようです。横長のベンチ型のピアノ椅子です。
ベンチ型の高さ調節方法
ベンチ型の椅子はいくつかあります。
次に紹介する油圧式・ガス圧式のその一つですし、高さ調節の効かないタイプもあります。
ここでは、一番多いタイプの『左右のハンドルで高さを調節するタイプ』を説明します。

左右の丸いハンドルを前もしくは後ろに、クルクルとまわします。操作方法はとてもシンプルで『ストッパーをかける』手間は必要ありません。
特徴とメリットとデメリット
- 横長なので大柄な人でも安定して座れる
- 前後どちらにまわすと上がるのか、下がるのか?分かりにくい
- 椅子自体の重さは、比較的重い(高級タイプほど重い^^;)
- 高さの目安になる溝がないので、高さに迷いやすい
- 古くなるとキィキィ雑音がしてくる
トムソン椅子と違って、無段階調節ができるのがメリットでありデメリットでもあります。
ハンドルが空回りして調整しにくいものがあったり、自分の適切な高さの目印がなく調節に時間がかかってしまうことも。
値段もさまざまなのがベンチ型。基本的に、ピアノ椅子のグレードはピアノ本体のグレードと合っていることが多いです。

油圧式〜体重をかけながら高さ調整

ひと昔前にはなくて、だんだんと人気になってきているのが、油圧式とガス圧式のピアノ椅子です。
一見すると、先ほどのベンチ型とあまり変わらないように見えるかもしれませんが、このピアノ椅子を使う1番のメリットは『雑音がしないこと』です。
鍵盤を縦横無尽に使う難しい曲では、体重を椅子の左右にかけながら演奏することになります。
トムソン椅子もハンドルで上下をさせるベンチ型も、どんなに高級なタイプを使っていても年月とともに雑音がしてくるようになります←値段の差は本革を使っているなど素材の差であって、雑音がしてくるのは構造上で仕方ないそうです。。。
そのため録音スタジオのピアノ椅子は、油圧式もしくはガス圧式になっています。一般的なスタジオや音楽ホールでは、見かけることはまだ少なめですね。
油圧式椅子の高さ調節方法
まず椅子に左右のレバーを握りながら、座面の高さを一番上まであげます。そのあと体重をかけながら、下げていきます。
これも独特のコツが必要なのと、もう1つポイントが。
高さ調節には、一定以上の体重が必要なのです!!

ふだん自分が練習で使っているのは、2020年に購入した油圧式です。
楽器店で試した時に「高さ調整には体重50キロが必要」という注意書きがありました。体重45キロの自分でも、その場では問題なく調整できたので大丈夫だろう、と思って買ったのですが…
実際に自宅に届いたもので試してみると、自重では椅子はまったく下がりませんでした。勢いをつけてお尻でドスン!ドスン!とやると、ようやく座面が下がります(^◇^;)
それでも、YouTube作成のときに雑音がしないのと座り心地が良いので、この油圧式椅子には満足しています。
特徴とメリット・デメリット
- キィキィ雑音がしない(劣化しにくく耐久性がある)
- 椅子の重さは比較的軽め
- 組み立て式のものは、DIY苦手な人には面倒かも?
- 体重が少ない人は、自重で椅子の高さが下げられない
いまでは油圧式も種類が増えてきています。もしかしたら、50キロ未満の体重でも調節可能なタイプもあるかもしれませんが、要確認ですね。
ほかにも、こんなピアノ椅子も
ここまで紹介した定番の椅子3種だけでなく、ほかのタイプのピアノ椅子もあります。
スタイリッシュなピアノ椅子
こちらのカワイの椅子は、最近発売されたモデルのピアノ専用スツール。
インテリアとしても、おしゃれですねぇ〜🎶
スマートさを売りにしているだけあって、大柄な人が座るには小さいかもしれません。それと、あくまで高さ調節機能はないスツールです。
アンティークなピアノ椅子
自分がこどものころは、座面をくるくるまわしながら高さ調節する丸椅子をよく見かけたものです。今でも販売しているのかなぁ?
いまどきバージョンの丸椅子↓これも回転で高さ調節可能だそう。
昔ながらの丸椅子はこういうものです↓販売しているのはカバーだけ。
散歩で訪れた荻窪の大田黒公園では、懐かしのピアノ丸椅子を見かけました。