「隣同士の和音の臨時記号はどちらの音に付いてるの?どうやって見分けるの?」

疑問・質問

ピアノ初心者からレッスンで定期的に出てくる質問、お悩みです。

「音が斜めにくっついている隣同士の和音だと、臨時記号が付いているのがどちらの音なのか分からないのですが、どうやって見分ければ良いのでしょうか?」

確かにコレ、慣れないうちは戸惑ってしまうのも無理がないと思います。

今回は臨時記号を正確に読むための基本とコツについて、実際の楽譜を例に解説してみます。

臨時記号の記載のルール

ルール1「臨時記号は音の左横に」

最初に、臨時記号の記載の基本からおさえておきましょう。

臨時記号は音符の左横に付きます。

間違えて理解している初心者さんを見かけることがあります(・_・;

楽譜は左から右へと読むのがルールです。まず臨時記号が目に入り、それが何の音に付いているのか?という順番で読むのですね。

下は、♯(シャープ)のソと♭(フラット)のラです。

使っているのは「カラーノート いろおんぷ磁石板」。長年レッスンで活躍している便利グッズです。

ルール2「臨時記号は音と高さを揃えて書く」

臨時記号は、音符とまったく同じ高さに書きます。

下の楽譜はツェルニー「リトルピアニスト」です。

シャープ、フラット、ナチュラルの記号の中心(囲われている部分)を青のペンで塗ってみました。音符の線や間とピッタリ合っているのがわかると思います。

次に、もっと複雑な楽譜を見てみましょう。慣れていない人にとっては、ビビってしまいそうな見た目:(;゙゚’ω゚’):かもしれませんが…

カプースチン「24のジャズ・プレリュード」です。

ごちゃごちゃして見えますが、すべての臨時記号が音と同じ高さに正確に書かれています。それぞれの臨時記号がどの音に付いているのか、わかるでしょうか??

ルール3「臨時記号は音符のすぐ隣とは限らない」

もう一度、カプースチンの楽譜を見てみましょう。

複雑で迷いやすそうな臨時記号の効力がある音符に対して、赤い矢印→を書き加えました。

ここで注目してもらいたいのは、ルール1「臨時記号は音の左横に」が「臨時記号は音のすぐ左横に」ではないというところです。

同時に演奏する音がたくさんある和音では、楽譜のスペースの問題で、音符のすぐ隣に臨時記号を置けない場合があります。

ここで、ルール2「臨時記号は音と高さを揃えて書く」が大事になるのです。

チャイコフスキー「ワルツ」のレッスンでの質問

問題「シャープ♯が付いているのはシ?ド?」

最近のレッスンでのこと。これからチャイコフスキーのワルツOp.39-8を新しく始めようという生徒さんから、質問がありました。

「隣り合って斜めにくっついている和音、シとドのどちらにシャープ♯が付いているのか見分けが付かないのですが…」

使用楽譜→ピアノ名曲110選グレードA

さて、正確はシなのかドなのか?どちらでしょうか?

答えは、こちら!

先ほどのルール2「臨時記号は音と高さを揃えて書く」のとおり、シャープの中心の高さをよ〜く見てみると…

シャープ♯が付いているのは、ドの音です。

ただし、今回のように音符が五線の外側の加線部分にあると、見分けの難易度が高くなるのは確かです。

上の写真は問題の箇所を拡大しましたが、実際の楽譜はもっと小さいです。よ〜く確認しても微妙に見えて分かりにくい(*_*)ということもあるでしょう。

実は、こうしたときの見分け方として「臨時記号の音の高さ」を目でだけ判断するのではない、ほかの補助的な方法もあるのです。

ピアノ中級者以上は必ず使っている方法です。

クラシック音楽に定番の和音がある

チャイコフスキーの「ワルツ」は調子記号がフラット♭3つ。変ホ長調です。もともとシとミとラには♭が付いています。

わかりやすくするために、シの音も臨時記号を使って問題の和音を作ってみました。ミにも♭が付いていますが、磁石が足りないので(^◇^;)手描きしています。

この和音は、クラシック音楽の進行では定番の和音なのです。ちょっとスパイスを効かせた、緊張感のある和音としてよく登場します。

使用楽譜→ピアノ名曲110選グレードA

そのため、ある程度のピアノ経験者は音符に目をこらさなくても、「あ〜定番のコレね」とすばやく譜読みができるのです。

今回はチャイコフスキーの曲を取り上げたので、分かりやすい和音になっていますが、前衛的な音が使われる現代曲ならば話は別です。経験に頼りすぎるのは、譜読みミスの原因になることがあります。

そもそもシにシャープ♯が付くのなら…?!

もうひとつ付け加えると、チャイコフスキーのワルツは調子記号としてシに♭が付いています。

臨時でシに♯が付けるためには「まずナチュラルにしてから♯を書かないとおかしい」とか「シに♯で半音上がってドがそのままなら、同じ鍵盤のドが2つになってしまうから、この場合はあり得ない!」ということが感覚的にわかってきます。

【まとめ】譜読みは総合力

「譜読みが大変」「譜読みに時間がかかる」「よく音を勘違いしてしまう」というお悩みを聞くことがあります。

譜読みは、総合力なのです。

ただ機械的を音を読んでいくのではなく、図形として和音を認識できるようになったり、音楽的に曲を理解しようとすることによって、力がついてくるのです。

知識を広げながら経験を積み重ねると、譜読みは少しずつ早く、楽になっていきますよ♪

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