ときどきレッスンでいただく【休符】の質問です。
- この休符はどういう意味?
- べつに休符が無くても良くない?
ポリフォニー感覚ができていると、こうした休符の意味も必要性も自然に理解できるようになります。
今回は、実際にレッスンで同じ質問をいただいた楽譜の例をあげながら、ポリフォニー音楽の理解と休符の意味について解説します。
「ポリフォニー」とは多声音楽
まず最初に「ポリフォニー」について、少しだけ説明します。
「ポリ」は「複数の」という意味。それに対して「モノ」は「ひとつの」という意味です。
音楽では複数の独立した旋律があらわれる音楽を「ポリフォニー音楽」と呼んでいてます。
続いて、レッスンで質問が出てきた楽譜の具体例をあげてみます。
楽譜例1【バーナム ミニブック コウモリのようにぶらさがろう】
バーナムピアノテクニックシリーズの1冊目ミニブックのグループ5-8「コウモリのようにぶらさがろう」。
赤マルをした四分休符を見て「この休符はどうして書いているのですか?」と質問されたことが、何度かあります。

右手はずっと休みで全休符。
それに対して左手は一拍目にちゃんとドの音があるのに、なぜ四分休符が必要なのか?という疑問を感じるのだと思います。
答えは…
余計な必要ない休符ではなく、左手の片手だけで2声部(ふたりの人が歌っている)を担当していると考えて作曲されているから。
- ひとりは ドーーー/ドーーー
- ふたり目は (休み)ラララ/(休み)ソソソ
『ふたり分のパート譜を一つの段にまとめて記載した』とイメージしてみると良いかもしれません。
使用楽譜→バーナムピアノテクニック ミニブック
楽譜例2【モシュコフスキー20の小練習曲第17番】
少し複雑な例になりますが、モシュコフスキー20の小練習曲より第17番の楽譜を見てみましょう。

モシュコフスキーの20の小練習曲より第17番のレッスンでも、赤マルの部分の休符で「この休符はどういう意味ですか?」という質問をいただきました。
答えは…右手で担当している3声部のうち、ここは1声部が休みだから。
よく見てみると、休符の前から右手は3声部として書かれていることに気がつくと思います。

右手が同時に弾く和音は、3音がひとつの棒に付いているのではなく上下の棒に1音と2音(下の声部はオクターブなのでまとめて考えて良い)で分かれています。
上の声部が3拍目は休み、という意味で四分休符が書かれたことが分かる良い例でしょう。
楽譜例3【ドビュシー作曲アラベスク第1番】
最後にもうひとつ。
質問をいただいた曲ではないのですが、逆の例です。
『休符が書かれていない』意味を考えるわかりやすい例ですので、ドビュッシー作曲のアラベスク第1番を取り上げます。

有名な冒頭部分です。右手も左手も休符がありません。
右手と左手が別々の声部ではなく、両手でひとつの声部として考えられているからなのですね。
メロディが左手→右手→左手とつながっています。
ひとつの声部として、どこで両手が入れ替わったのかわからないくらい美しいレガートで演奏できると良いでしょう。
【まとめ】休符の疑問はポリフォニーの入り口
ピアノという楽器の大きな特性は、『同時に複数の音を出せる』ということ。
フルートやクラリネットなど息を使う楽器や歌では、あり得ないことです。
そして『同時に複数の音が出せる』だけでなく、『同時に複数の音を、すべて面倒を見ることができる』ようになると、素敵で立体的な音楽がつくれるようになるのです。
楽譜の休符の疑問は、ポリフォニーの世界の入り口になるでしょう。

