散歩が気持ち良い季節となりました。
近所の散歩コースの光が丘「四季の香ローズガーデン」はバラが見ごろ。おだやかな日差しのなか豊かな香りと色彩を楽しめます。
今回はバラにまつわるピアノ曲としてシューベルト、ウェルナー、マクダウェルの3人の作曲家の『野ばら』の曲を紹介します。
ほかにもバラの曲はありますが、完全に自分の好みで選んだ3曲です\( ˆoˆ )
ちなみに野ばらは「野に咲くバラ」なので、こうした手入れされたガーデンに咲く色鮮やかなバラではなく、もっと素朴なものなのでしょうね。
【初級アレンジ】シューベルト「野ばら」
1曲目は、シューベルト作曲の『野ばら』。ドイツの詩人ゲーテの詩による歌曲です。
日本語訳としては「わらべは見たり、野なかの薔薇」とはじまる近藤朔風の訳が有名です。
そういえば教科書に載っていたなぁ、歌ったことがある、と思い出す方もきっと多いでしょう。
使用楽譜→【おとなのためのピアノ小曲集】バイエルからツェルニー30番併用
橋本晃一氏による初級アレンジです。ピアノ編曲は1番のみ演奏しましたが、本来の歌詞は3番まであります。
歌詞によるストーリーを要約すると、
1番では、少年が清らかに咲く野ばらを見つけます。2番は、少年と野ばらの会話です。少年が野ばらに向かって「折ってしまうぞ」それに対して野ばらは「それなら私の棘であなたを刺します」。そして野ばらの抵抗むなしく折られてしまうのが3番。
最初は少年と野ばらのほのぼのとした情景に思えますが、3番までの歌詞を知ってみると、これは男女の駆け引きの描写なのだとわかります。
歌曲として聴くときには、どのように歌い手が3番までドラマを作っていくのか、その表現の変化に注目してみると面白いです。
ちなみに同じシューベルトの歌曲「ます」の歌詞も、似たような展開です。いきいきと自由に泳いでいた鱒が最後には釣り人によって罠にかけられてしまいます。。。
【初級アレンジ】ウェルナー「野ばら」
2曲目はウェルナー(ヴェルナーとも書かれます)作曲の「野ばら」。こちらも同じくゲーテの詩による歌曲です。
このゲーテの詩は多くの作曲家の創作意欲を刺激したらしく、100以上のメロディが存在すると言われています。
シューベルトが親しみやすいメロディの美しさならば、こちらはハーモニー変化の美しさが際立つ名曲です。
同じ音(たとえばレードシーシ シーラソー)(シーレミーミ レミファソー ソーミレーシ…)なのに、和声変化がこう来るのか?!という新鮮さ、明るさと暗さを行き来する部分が印象深いです。
使用楽譜→おとなのためのピアノ曲集クラシック編1
ウェルナーの「野ばら」は、先ほどのシューベルトの「野ばら」の使用楽譜【おとなのためのピアノ小曲集】バイエルからツェルニー30番併用にも収録されています。どちらも橋本晃一氏による編曲で、難易度は初級です。
休符の表記が微妙に違っていたりしますが、歌の息つぎのような感じですので、どちらの楽譜を使用してもほぼ変わらないでしょう。
【初中級】マクダウェル「野ばらに寄せて」
最後は、マクダウェルの「野ばらに寄せて」。「野ばらに寄す」と表記されることもあります。
こちらはシューベルト、ウェルナーと違って、もともとピアノ曲です。『森のスケッチ』作品51の第1曲目に収録されています。
やさしい雰囲気の曲です。発表会などの定番としても人気ですね。
楽譜は【ピアノ名曲110選グレードA】【ヤマハ ピアノライブラリー ロマン派ピアノ小品集4】ほかで手に入れることができます。
難易度は初中級程度。左手にオクターブを超える和音が出てきたり、ペダルの踏みかえに工夫は必要ですが、それ以外に難しい部分はありません。
ブルグミュラー25の練習曲が修了したあたりのレベルから演奏できる、おすすめレパートリーです。
こちらはゲーテの詩とは違って、最後に野ばらが手折られてしまうこともないのか…どうなのでしょう…??