意外と難しい【付点のリズム】ターンタがタータになりやすい原因と対策

ピアノ雑談話

「ふてんのリズムは、つまり『ターンタ』でしょ?かんたん!」と思っていませんか?

考え方として間違ってはいませんが、なんとなく演奏していると「ゆるい」リズムになりがちなのが付点のリズム。

いつの間にか『ターンタ』よりも『タータ』に近くなっている演奏をよく聞きます。中級者以上も要注意です。

今回は『ターンタ』のリズムと『タータ』のリズム、この2つの違いを頭で理解して演奏で実践するためのヒントと練習方法について書いていきます。

リズム感を養うのにおすすめのメトロノームアプリと、ポリリズムについても少し触れてみます。

『タタタタ』と細かく数えてみよう

付点『ターンタ』のリズム

付点4分音符は、8分音符と組み合わせされることが多いですね。

この組み合わせを弾くときには、8分音符を「タタタタ」と細かく数えながら、音符の長さが3対1『ターンタ』になっていることを意識しましょう。

メトロノームアプリMETRONOME STAR(メトロノーム スター)は時計のような表示で、1拍をさらに12つに分けて音をきざむ機能が付いています。

画面上の星をタップすることにより、自分でさまざまなリズムを作ることができます。

複雑なリズムも目で見て、耳で聞いて体感することができます。しかも無料!生徒さんにもよくおすすめしている便利なアプリです。

1拍を4分割して作る「タタタタ」のリズムは、この状態になります。

ここから星を2つタップで消すと、このような状態になります。『ターン』と3対1の長さのリズムです。

これが↑付点のリズムです。

まずは音を鳴らして聞いて、次には手拍子で真似をすることから始めてみましょう。慣れてきたら数字の右横の➕をタップして速いテンポにもチャレンジを!

間違いやすい『タータ』のリズム

さて、この付点のリズムと間違いやすいのは、こちらのリズムです。

4分音符と8分音符の組み合わせです。

METRONOME STARで3分割のリズムを作るには、このように↓星をタップします。

この「タタタ」から、音符の長さが2対1の『ター』を作るには、星ひとつをタップで消します。

これが↑『タータ』のリズムです。

付点のリズム『ターンタ』と比べて、星ひとつ分ズレています。

少しの違いですが、これによって付点のリズムよりシャープさがなくなり「ゆるく」「鈍く」なります。こちらも音を聞き、真似をしてみて、違いを実感できるようになりましょう。

もともとリズム感がある、ないは個人差がありますが訓練によって身につけられる能力です。根気よく試してみましょう。

ベートーヴェン「月光」に登場するポリリズム

ここで、ポリリズムについても知っておくと良いでしょう。

ポリリズムとは声部ごとに異なるリズムが演奏されることです。

ここでは、4分割と3分割が同時に現れるベートヴェンのソナタ「月光」第一楽章を例として見てみましょう。

右手の上の声部のメロディに付点のリズムが現れ、下の声部には伴奏として3連音符が出てきます。

この3連音符のミの音と16分音符のソのシャープは同時に打鍵するのではなく、タイミングにズレがあります。

METRONOME STARでも、このリズムを作ってみましょう。

この星の部分をタップすると、右手の打鍵のリズムになります。

バーナムで付点のリズムを実践

続いてはバーナムピアノテクニックを使って、ピアノで実践です。

【レベル1】バーナム全調の練習「ポンコツジープ」で練習

バーナムピアノテクニック全調の練習「ポンコツジープ」には、付点8分音符と16分音符の組み合わせが出てきます。

頭のなかで「タタタ」と16分音符を刻みながら『ターンタ』の連続が正確に弾けるように、練習してみましょう。同じリズムでも、よく使う右手よりも左手の方が演奏するのに苦労するかもしれません。

YouTubeに参考演奏を入れています。

バーナム全調の練習【ポンコツジープ】ホ短調

使用楽譜→バーナムピアノテクニック全調の練習

【レベル2】バーナムピアノテクニック2「スキップしよう」で練習

バーナムピアノテクニック2のグループ4−7「スキップしよう」には、付点は見当たりません。8分音符と16分休符と16分音符の組み合わせです。

ですが、このリズムも同じリズムの感覚が必要になります。頭のなかで「タタタタ」と16分音符を刻みながら、1つ目と4つ目の「タタ」の赤い部分に正確にリズムを取りましょう。

曲のタイトルの通り「タッッタ」と軽くはずんたスキップになるように。「タッタ」では、重い足どりになってしまいます…

バーナム2【グループ4-7】スキップしよう

使用楽譜→バーナムピアノテクニック2

この曲もYouTubeに参考演奏を入れていますが、最初からこのテンポで弾くのは難しいです。ゆっくり正確に、その後で少しづつテンポを上げていくのをおすすめします。

なぜ付点はリズムは「ゆるく」なりやすいの?

そもそもなぜ付点のリズムは『ターンタ』と理解していても『タータ』となりやすいのでしょうか?

ハノン・ピアノ教本でも、リズム替えの定番の練習方法のひとつが「付点のリズム」です。

このリズム替えで『ドーーミ/ファーーソ/ラーーソ/ファーーミ』と練習しているつもりでも、『ドーミ/ファーソ/ラーソ/ファーミ』のようにリズムが「ゆるく」なりがちなのには理由があります。

そのほうが楽に演奏できるからです。

なので、無意識のうちに省エネで弾ける『タータ』の「ゆるい」リズムになってしまうのでしょう。

付点の「鋭い」リズムを正確に演奏するのは筋肉を使い、疲れる練習方法なのです。

それがこのリズム替え練習の目的でもあります。『タータ』で練習してしまうと効果が半減してしまいます。

すぐに修正するのは大変ですが、『付点のリズムは油断するとゆるくなりがち』と自覚して気をつけているだけでも効果があります。

【おまけ】『タータ』のリズムは、こんな時に使います

今回は付点のリズムを正確に演奏するための考え方、コツを書いてきましたが、『タータ』のゆるいリズムが必要な場面もあります。

カーペンターズのヒット曲「遙かなる影」の楽譜の指示には、(付点音符で書かれている音符は3連音符の『タータ』で演奏するように)との指示があります。

これは『スイング』と言われます。ジャズやポピュラー音楽には、しばしば出てくる独特の技法です。

こういった曲では付点音符よりも、ゆるいリズムの方が曲の雰囲気に合いますね。

タイトルとURLをコピーしました