人を惹きつける不思議な魅力と、人を狂わせる魔力を持つとされる「月」。
クラシックには「月」にちなんだ曲がたくさん存在します。
今回は神秘的な「月」をイメージしながら演奏したい、おすすめのピアノ曲とピアノアレンジ楽譜を紹介します。
演奏難易度も合わせて書いてみました。
月光ソナタ/ベートーヴェン
ベートーヴェン作曲のピアノソナタ第14番。とても有名な第1楽章のみ、単独で演奏されることも多い曲です。
第1楽章で難しいのは、冒頭から何度も繰り返される右手の付点のリズム「ターンタ」と、左手の3連符のリズム「タタタ」のポリリズム。また、複雑な中間部の和声の変化には少しずつ慣れていきましょう。
名曲集やピアノピースでは、「月光の曲」とのタイトルで第1楽章のみ収録されている場合も多いので、ご確認を。
ドレミ楽譜出版社「ピアノ名曲110選グレードB」
全音ピアノピース「月光の曲」
月の光/ドビュッシー
ドビュッシー作曲「ベルガマスク組曲」の第3曲目「月の光」。フランスの詩人ヴェルレーヌの詩「月の光」に影響されて作られた曲です。
原曲の演奏難易度は中上級〜上級ですが、弾きやすくアレンジされた大人におすすめの楽譜を紹介します。ハ長調アレンジです。
…とは言っても、この曲はもともとのリズムが単純ではないので、演奏難易度は初中級程度。
使用楽譜は、ドレミ楽譜出版社の「おとなのためのピノ曲集 クラシック編2」です。
がっつり原曲で弾きたいならば、全音ピアノピース「月の光/ドビュッシー」などで手に入れることができます。
月の光/フォーレ
フォーレ作曲の歌曲「月の光」。ドビュッシーと同じように、ヴェルレーヌの詩から作られた曲です。
ピアノは前奏から神秘的で、長めの前奏のあとの歌とのカラミがさらに素敵。
今回紹介するのはピアノソロアレンジの中でも弾きやすく、それでいてポリフォニーが美しいおすすめアレンジです。
原曲の変ロ長調から半音低い、比較的やさしいイ短調に移調されています。中間部は省略されて短めですが、右手で担当するピアノと歌の両方の二声で、それなりの難易度になります。
演奏難易度は中級程度でしょう。
使用楽譜は、ケーエムピーの「クラシックを弾きたくて 世界名歌編」。
月の光/ギロック
ギロック作曲の「月の光」は、24曲からなる叙情小曲集の11曲目です。
右手と左手ともに連続する3度は、ドビュッシーの「月の光」へのオマージュのよう。
シャープ5つのロ長調で、ダブルシャープや11連符やタイの連続もあり、譜読みにソルフェージュの力も必要です。
苦労して練習した先には美しい独特のハーモニーができあがります。大人のためと言っても良い、魅力的な小品です。難易度は、初中級〜中級程度。
ギロックの叙情小品集についての記事はこちら↓
使用楽譜は、全音の「ギロック 叙情小品集」
優雅な月よ/ベッリーニ
ベッリーニ作曲の歌曲「優雅な月よ」。
「ノルマ」「清教徒」など、美しいメロディが特徴のオペラで知られるベッリーニ。「優雅な月よ」は歌手がリサイタルで取り上げる機会が多い、定番の歌曲です。
ピアノソロアレンジは、単純で難しいところのない左手の伴奏と、自然なメロディの右手で構成されています。
これだけシンプルでいながら飽きのこないメロディ。素晴らしい作品だなぁと感じます。難易度は初級。
使用楽譜は、さきほどのフォーレの「月の光」と同じケーエムピーの「クラシックを弾きたくて 世界名歌編」。
荒城の月/瀧廉太郎
日本の歌からも紹介します。まずは、瀧廉太郎作曲の「荒城の月」。
「春高楼の花の宴…」からはじまる土井晩翠の詞があまりにも有名な、日本のクラシック曲です。
ちなみに、曲名の「荒城」はどこの城なのか?は諸説あるようですね。
「荒城の月のモデルは、仙台の青葉城だ」とか、「いや、会津の鶴ヶ城だ」…こども時代を仙台と福島で過ごした自分は、本当にそうかぁ???とどちらの説にも納得いかなかったものです。
青葉城には現存する天守閣がなくてイメージがわかないし、鶴ヶ城は真っ白くてピカピカでしたし(^◇^;)
おすすめのピアノレンジは、こちら。難易度は初中級程度。
使用楽譜は、ドレミ楽譜出版社「おとなのためのピアノ曲集 日本のうた編」です。
月の砂漠/佐々木すぐる
日本の歌から、もう一曲。佐々木すぐる作曲の歌曲「月の砂漠」。
こちらも日本歌曲の定番となっています。砂漠、美しい月、ラクダに乗った王子と王女…静かな情景が目に浮かぶようです。
「荒城の月」と同じく、ドレミ楽譜出版社「おとなのためのピアノ曲集 日本のうた編」のアレンジがおすすめです。難易度は初級。
楽譜についての詳細記事はこちら↓