「プレ・インベンション」ポリフォニーを基礎から学びたい方に

楽譜・教本

ピンクとイエローの2色のコントラストが印象的な表紙の「プレ・インベンション」。

「J.S.バッハ・インベンションのまえに」の副題のとおり、インベンションの導入教材として定番のピアノ教本です。

  • バッハのインベンションに挑戦したところ、難しすぎた( ; ; )
  • かんたんに見える楽譜でも難しい曲があるのはなぜ(・・?)
  • 演奏したいのはショパンやブラームスだけど、ポリフォニーは必要?

今回の記事では、こうした疑問や悩みを持っている方に、収録曲の難易度、おすすめの理由、使うときの注意点などについて解説します。

プレ・インベンションの難易度は?

楽譜のレベルは、初級・第2課程

プレ・インベンション」の収録曲は全56曲。有名な作曲家としては、バッハやヘンデル、ハイドンやモーツァルトの作品が含まれています。

全音楽譜出版社の「難易度別教本・曲集一覧」では、複音楽(ポリフォニー)カテゴリーの初級・第2課程です。

とは言っても、収録曲の難易度には差があります。

いかにも学習者向けといった8小節の短い曲から、ページ数が7ページになる長めの変奏曲もあるのです。

難易度順と収録順は違う

注意点としては、難易度順に収録されていない!というところ。

曲ごとの難易度とおすすめの練習順は93ページに載っています。

ただし、絶対にこの順で練習しなければいけないわけではありません。

たとえば、第11番テレマン作曲のスケルツィーノ。右手にも左手にも同音連打のスタッカートがたくさん出てくる曲です。

使用楽譜→プレ・インベンション

これまでレッスンしてきた経験上、『同じ音で指替えしながらスタッカート』は、とっても苦手な初級者さんが多いです!

「プレ・インベンション」全曲の中で2番目にやさしいとされている11番が弾けなくては、この先に進めないぃ〜(泣)と悩みすぎず、苦手なものは抜かしながら数をこなしていくことをおすすめします。

楽譜によって作曲家名、音やスラーの違いがある!?

大人の方が本格的にクラシック曲を学び始めると、

  • 楽譜(出版社)によって音が違うの?
  • リズムが違うの?
  • そもそも作曲家名が違う?!

という疑問にぶつかることがあります。レッスンでもよく質問される『大人の疑問あるある』です。。。

楽譜による違いは、ピアノ教本の定番の「ブルグミュラー25の練習曲」でも、みんな大好きショパンでも「あるある」現象です。

もっと古い時代の作品であるバロック時代の曲では資料自体も古いため、なおさら「楽譜による違いはあるあるある!」なのです。

出版社による作曲家の違い

たとえば、超有名な「メヌエット ト長調」は、「プレ・インベンション」では17番に収録されていてJ.S.バッハ作曲とされていますが、現在の研究ではバッハではなく同じ時代の作曲家ペッツォルトによるものとされています。

出版社による音の違い

映画にも使われて大人に人気のヘンデル「サラバンド」は、曲の最後の部分が微妙に違っています。

写真上→プレ・インベンション

写真下→ピアノ名曲110選A

YouTube動画は、収録当時レッスンしていた生徒さんのための参考として作ったものなので、「プレ・インベンション」ではなく、「ピアノ名曲110選A」の楽譜にそって演奏しています。

装飾音符、スラーやスタッカートの違い

音やリズムというわかりやすい違いだけではなく、装飾音符、スラーやスタッカート、強弱などの表記も出版社によって違いがあります。

作曲家本人よりも、あとから編著や校正によって書き加えられたものが多いからなのです。

「それもアリだし、これもアリだよね?」という解釈の違いと考えれば良いでしょう。

ポリフォニーのキモはコレ!

まず最初に「プレ・インベンション」で意識して学んでほしい一番のキモは、同じカタチのメロディは同じように演奏するということ。

こうして文章にするとシンプルで、なんてことなように思えるかもしれませんが、意外と難しいことなのです。

基本は、♪かえるのうた

♪「かえるの歌が〜聞こえてくるよ〜」という輪唱(りんしょう)を、こどものころに音楽の授業で歌ったのを覚えている方も多いことと思います。

「かえるの歌」は簡単なメロディで、だれでもすぐに覚ええ歌えますよね?なにも難しいことはありません。

ピアノでも「ひとつの短いメロディを弾く」だけなら簡単です。

でも、こんなに簡単なメロディでも「右手と左手で2人分の追いかけっこのメロディをどちらも弾く」となると、大変さは3倍以上!(◎_◎;)

これがポリフォニーの基本なのです。

簡単な見た目でも弾くのが難しい曲は『ポリフォニーで書かれているから』という場合が多いです。

「追いかけっこ」に聞こえるように弾いてみよう

プレインベンション9番のクンツ作曲の「小さなカノン」は、「かえるの歌」と同じように右手のメロディが左手で追いかけていくシンプルな曲です。

こうした分かりやすい曲でも、右手も左手もスラー・スタッカート・アクセントなどすべて同じように演奏できるか?というと、苦労する場合がほとんどです。

たとえば3小節目の1拍目、左手のレは小さなメロディの頂点としてアクセントで演奏しますが、右手はメロディが終わりかけなので強くなってはいけないのです。

この左右の表現のズレを自然にできるようになることが、最初の目標になります。

こうした右手と左手の表現のズレは、実はショパンなどの大人あこがれ曲やポップスにもよく使われているものです。

ポリフォニーになじんで来ると、楽譜のどこにポリフォニーが含まれているかがパッとわかるようになって、演奏に活かせるようになってきます。

ノクターン第8番/ショパン(使用楽譜→エキエル版 ショパン ノクターン)

ロミオとジュリエット/ニーノ・ロータ(使用楽譜→おとなのためのピアノ曲集 ポピュラー編1)

ポリフォニーは完全独学は難しい…

ピアノ独学をしていると「音とリズムをちゃんと弾けた」=「曲が弾けた」と思ってしまいがちですが、それではセリフを棒読みしているだけで演技になっていないようなものです。

とくにポリフォニーについては、ちゃんとしたピアノ指導者にポイントを教わりながら理論を知り、演奏をマネすることからはじめるのが大切だと思います。

【まとめ】とYouTube再生リスト、最後に注意点も

今回は「プレ・インベンション」の紹介とおすすめの理由について解説してきました。

バッハの「インベンションとシンフォニア」についても言えることですが、ポリフォニーの曲は苦手意識を持っている方が多いのも知っています。

  • バッハって面白いと思ったことないな…
  • こどものころ「プレ・インベンション」やったけど嫌いだった
  • 楽譜の見た目は簡単そうなのに、ぜんぜん弾けなくてイライラする〜!

など拒否反応がある場合は、無理をしてまでやらなくても大丈夫です。

また、ほかの教本を使ってもポリフォニーは学ぶことは可能ですし、指導者によっては解釈の違いから、あえて「プレ・インベンション」以外の教本を選ぶ人もいるでしょう。

それでも「プレ・インベンション」をおすすめしているのは、

  • ポリフォニー導入書としてメジャーな教本である
  • 解釈のひとつの例としてレッスンで使えるから

という理由からです。

ポリフォニーの奥深さや楽しさに触れると、自分の演奏のグレードアップにつながるだけでなく、他人の演奏の中にも面白さを発見できる機会が増えるでしょう。

YouTube再生リストを更新中です。

使用楽譜は必ずしも「プレ・インベンション」だけとは限らないので、細かい部分が違っている場合があります。変奏曲はテーマやバリエーションで動画を細かく分けている場合もあります。

楽譜はこちら↓

下のこちら↓は、楽譜ではなく「指導の手引き」で楽譜は含ませていません。表紙がそっくりなので間違って購入しないように注意してくださいね!

もちろん『指導の手引きも勉強になりそうだから』という目的でこちらも購入するのはOKでしょう。

ちなみに、私はこちらの「指導の手引き」は持っていないし読んだこともないので、オススメかどうかは知りません…σ^_^;

タイトルとURLをコピーしました