アコースティックピアノ(生ピアノ)はとても繊細です。
雨の日には、湿気の影響で鍵盤の戻りが悪くなります。
知らないうちに裏側部分にカビが生えてしまった!という話を聞くこともあります。
梅雨が始まるこれからの季節は要注意。
今回は『知っておきたいピアノの湿気対策』です。これまでに試して効果のあった対策、なかった対策についても書いてみます。
【ピアノと湿気】3つの体験談
地下室のピアノにカビが生えた話
声楽の友人から聞いた話です。
家を探していた時に、ちょうど条件に合った3階建て(半地下室あり)を見つけて、即決。
「地下なら防音工事も必要ないし、レッスン室に最適!ラッキー\( ˆoˆ )/」
ところが、その考えには落とし穴があったようです。
地下は音をさえぎることができる代わりに、空気の通りも悪かったのです…
半年ほど経ったある日のこと、アップライトピアノの裏側にカビが生えているの発見!ショックを受けたそう(>_<)
それからはマメに換気をしたり、除湿機をガンガンにかけて対策している、とのことです。
音大生専用マンション、キッチン横のピアノは湿気まみれ
私自身の体験談です。
学生時代の初めてのひとり暮らしは、ピアノ可の音大生専用マンションでした。
専用面積20平米の狭い1Kタイプでは、ピアノの置き場所に選択肢はありませんでした。グランドピアノのすぐ横はミニキッチンです。
換気扇を使っても、調理をすれば湿気がピアノに直撃しますし、きっと油も飛んでいたことでしょう。。。
楽器が湿気ているようです。湿気対策をした方が良いでしょうね
あぁ〜、やっぱりそうでしたか。
では、連打が弾きにくくなったのは、湿気の影響…?
いや、それだけでなく、私の腕が足りないという理由もわかってはいますが(^◇^;)
ちなみに、そのころは「除湿機を買う」という発想がなく、タンス用の除湿剤を何個も部屋に置いていました。
↓こちらは、容器いっぱいに水がたまると550mlになります。数ヶ月で小さな容器に水がたまってきます。
これは「気休め」程度で、ほとんど効果は感じられませんでした。この程度の対策では足りないくらいの湿度だったはずです。
ホテルのロビーのピアノは、外気の影響をモロに受ける
ブライダルの仕事で、ホテルのロビーのグランドピアノを演奏する機会が何度もありました。
ロビーに置かれているピアノの状況は、なかなか過酷なものです。
ホテル内部の空調は管理されていても、玄関に近いロビーは頻繁に外気が入り込んで湿度も大きく変化します。
不安定な室温と湿度はピアノに悪い影響が出るもの。仕方のないことですが…
見た目の優雅さとは違って、調律も狂っていて弾きにくいピアノが多かったですね(・_・;
レッスン室の湿気対策
こうした経験から、うちのレッスン室では『ピアノの湿気対策』に、家庭用の中でもハイパワーの除湿機を使っています。
エアコンの「除湿」機能もやらないよりはマシだとは思いますが、それだけではパワーが足りません。
使用しているのは、3〜4年前に購入した三菱の除湿機です。それまでは別の機種を使っていましたが、使いやすいもの、より高性能なものを比較検討して決めました。
↓こちらはタンクいっぱいに水がたまると5,500ml。湿気の多い日では1日〜2日で満杯になります。
高性能で『音が静か』な三菱の除湿機
良い点は、とにかく湿気がたくさん取れること!
下の大容量のタンクいっぱいに水分が溜まります。室内にこんなに湿気があったのね!(◎_◎;)と、驚くばかりの量です。
もちろんタンクだけ取り外して水を捨てられますし、キャスターが付いているので除湿機を部屋から運ぶのもらくらくです。
これだけ高性能なのに音がとても静かで、演奏していても運転音が気にならないのも、大きなメリット。
レッスンの参考としてYouTube動画をちょくちょく撮っているのですが、音が気にならないので、たまに除湿機の運転を切り忘れて、そのまま録画してしまいそうになることも。。。
デメリットは『大きさ』
不便な点としては大きさです。7.5畳のレッスン室に置いていると、なかなかの存在感です。
空気清浄機(写真右)はいつも置きっぱなしですが、それにプラスして除湿機まで置いていると部屋が狭くなってしまうので、生徒さんのレッスン中は他の部屋に移しています。
ピアノ以外の奏者は、湿気にもっと敏感
弦楽器、管楽器奏者は、湿気が多さが気になる
ヴァイオリン奏者やチェロ奏者などの弦楽器やオーボエ奏者など管楽器の演奏をする人は、湿気に対してはピアニスト以上に敏感です。
「今日は天気のせいで、楽器の鳴りが悪い」o(`ω´ )oなんて話を良く聞きます。
乾燥しすぎも良くないようですが、高温多湿の日本では湿気のほうが大問題のようです。
なので、自宅レッスン室で他の楽器奏者とのリハーサルをする時には、ミニテーブルをどかすなど部屋のレイアウトを工夫して、除湿機をフル稼働しています。
湿っぽくなるこれからの時期は、リハーサル前から除湿機を稼働しています。もし忘れると楽器奏者にはすぐにバレてしまいます!(◎_◎;)
そして文句を言われます〜(^◇^;)
この感覚の敏感さは
- ピアノは、自宅以外ではその場に置いてある楽器(会場のピアノ)を演奏する
- 他の楽器は、リハーサルも本番も自分の楽器を持ち歩いて演奏する
という楽器の特性によるのかもしれませんね。
声楽は、乾燥が苦手
歌い手は、少し湿り気があるくらいの場所のほうが楽に声を出せるようです。
空気が乾燥している状態を避けるために、霧吹きを持参して楽屋で使っていたり、濡れタオルを干しているのを見かけたこともあります。
まとめ
楽器にとって、湿気は良いものではありません。
正確に言うと「湿気が少なくなりすぎたり多すぎたり、変動が大きいと良くない」と言われています。
湿気によって木やフェルトが膨らんだり縮んだりが、楽器の負担になるのです。
とは言っても、かんぺきな室温・湿度管理ができるレッスン室を持っている人は少数派だと思います。
それでも湿度に対してまったく無知なのと、多少でも気にしているのではピアノの状態に差がでてきます。
できる範囲で良いので、少しでも対策してみましょう。