もうすぐ卒業式シーズン。このメロディをよく耳にすることでしょう。パッヘルベルの「カノン」です。
ピアノ発表会や弾き合い会で演奏されることが多い人気の定番曲です。楽譜も入門レベルから超上級まで、さまざまなアレンジ譜が出版されています。
今回は【初級】からチャレンジしがいのある【上級】レベルまで、おすすめの楽譜をやさしい順に4つ紹介します。
「カノン」の難易度は何で決まる?
パッヘルベルの「カノン」と言えば🎶ファ♯ソラーファ♯ソ/ララシド♯レミファ♯ソ…という印象的なサビの部分でしょう。ピアノで「カノン」を演奏したいのは、このキラキラしたメロディが弾きたいから(*^^*)という理由がほとんどです。
ところが入門レベルのアレンジでは、この部分を省略している場合があります。原曲はニ長調(D dur)ですが、弾くのが簡単なハ長調(C dur)に移調している編曲譜も。
そうすると曲の雰囲気がだいぶ変わってしまいます。「弾きたかったカノンのイメージと、どこか違う…(T . T)」という残念な思いをするかもしれません。
なので、今回は完全初心者向きのハ長調やサビを省略した【入門】レベルの編曲は紹介していません。
また、カノンはコード進行として『レーラーシーファ♯ー/ソーレーソーラー』が何度も繰り返しされ、それにつれてメロディが変奏されていくのが特徴です。変奏は最初はシンプルなものから始まり、エンディングに向けて盛り上がっていきます。その変化を楽しむためには、ある程度の曲の長さも欲しいところです。
そのため、ここで紹介している楽譜は【初級】レベルでもピアノを始めたばかりの初心者ではなく、それなりの経験者向けのアレンジとなっています。
曲の難易度は厳密なものではなく、4つの編曲の相対的な比較で書いています。楽譜では【上級アレンジ】として出版されていても、今回は【中上級】として紹介したものもあります。
【初級】→【初中級】→【中上級】→【上級】の違いは、演奏に必要なテクニックの差によるものです。声部が増えて音の厚みが増したりリズムが複雑になると、難易度はより高くなります。
【初級】おとなのためのピアノ小曲集〜バイエルからツェルニー30番併用より
左手は最後まで『レーラーシーファ♯ー/ソーレーソーラー』のベース音の繰り返しだけです。
練習は右手を集中的に進めていきましょう。初心者の方は4小節または8小節ずつ練習していく方法がおすすめです。
使用楽譜→「おとなのためのピアノ小曲集〜バイエルからツェルニー30番併用」
「おとなのためのピアノ小曲集」にはチャイコフスキー「花のワルツ」、ジョプリン「エンターテイナー」、ビゼー「ハバネラ」〜オペラ『カルメン』より、シューベルト「野ばら」など大人に人気の魅力的な小品が収録されています。
大人に人気の有名曲が弾きやすくアレンジされている、おすすめの曲集です。
【初中級】ヤマハ クラシック名曲50選より
こちらは先ほどの楽譜とは違って、左手がベース音で右手がずっとメロディというシンプルなアレンジではありません。
左右の音のバランスを考えると、演奏が立体的になります。ペダルもぜひ使ってみましょう。
使用楽譜→ヤマハ「クラシック名曲50選」
ヤマハ「クラシック名曲50選」は、ヤマハ製の電子ピアノ「クラヴィノーバ」やキーボードを購入すると付録で付いてくる楽譜です。
市販はされていませんが、中古品がAmazonで手に入ることもあります。表紙が赤でも青でも、収録曲は同じです。
【中上級】珠玉の名曲ピアノ・ピースより
上の2つのアレンジと比較すると格段に難しくなりますが、演奏映えするアレンジです。
声部を歌い分けるポリフォニーの練習にもなるでしょう。
使用楽譜→パッヘルベルのカノン(珠玉の名曲ピアノ・ピース)上級アレンジ
初〜中級/上級/連弾の3つの楽譜がセットになっている、ピアノ・ピースです。
楽譜上では【上級】となっていますが、実際は【中上級】程度だろうと感じます。
ちなみに、動画にはしていませんが【初〜中級】アレンジの楽譜は「おとなのためのピアノ小曲集〜バイエルからツェルニー30番併用」と似ています。どちらも橋本晃一氏による編曲です。
【上級】上級ピアノグレード「リラクゼーション」より
なかなか手応えのあるアレンジです。曲の長さも5分以上あり、集中力が必要です。
低弦楽器であるチェロの通奏低音を思わせる静かな出だしから、次第に楽器が増えていくイメージです。最後はまるで大聖堂で鐘が鳴っているかのような、壮大なエンディングへと向かいます。
使用楽譜→上級ピアノグレード リラクゼーション プロフェッショナルユース曲集
↑こちらの楽譜の収録曲のうち、ドラマ『ロングバージョン』挿入曲のClose to you〜セナのピアノIIは初中級程度の弾きやすいアレンジですが、ほとんどは容赦ない上級アレンジとなっています。
腕に覚えあり!ならばチャレンジしてみては?
おまけ
パッヘルベルのカノンがお好きな方は、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」もお好きなことが多いですね。
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