アンニュイ、おしゃれ、洗練された色っぽさ…フランスのクラシック曲には大人の魅力がたっぷり。
今回は、初級から中級レベルの大人のピアノレパートリーにおすすめ『フランス人クラシック作曲家10人の13曲』を難易度と合わせて紹介します。
生徒さんに人気の曲と、自分の好みから選んでみました。
曲によって解説の温度差が違うので、好みがバレバレだと思いますがσ^_^;
大人のピアノ教室のブログ記事ですので、選曲も解説も大人向けです。
エリック・サティ(1866〜1925)
【初級アレンジ】ジムノペディ第1番
サティの作品の中で最も有名で、たびたびBGMとしても使われるジムノペディ第1番。
気だるい午後に、異世界へ誘いこまれてしまいそうな雰囲気の曲です。
サティの曲はクラシックに分類されますが、イージーリスニングのような気楽さも魅力のひとつかもしれません。
原曲のト長調をハ長調に、和音もシンプルにやさしくアレンジした橋本晃一氏の編曲を紹介します。
曲の長さは原曲のままなので、初級アレンジにしては演奏時間4分程度と長めです。
使用楽譜→おとなのためのピアノ曲集 クラシック編1
YouTube動画の演奏は、25小節と30小節の左手1拍目を原曲の音程に合わせてソではなくドに変えて弾いています。
おとなのためのピアノ曲集 クラシック編1は、入門〜初中級レベルの生徒さんにおすすめしている良い楽譜なのですが、おそらくココはミスプリではないかなぁ?
こちらにも書いています↓
【初級アレンジ】ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)
日本語訳では「あなたが欲しい」という意味のジュ・トゥ・ヴ。
曲名からして、これは大人のレパートリーにふさわしい曲でしょう。おしゃれなシャンソンを思わせる曲想です。
原曲は楽譜6ページ分と少々長いですが、こちらは何度も出てくるメロディ部分のみコンパクトにまとめた、やさしい初級アレンジです。
使用楽譜→やさしく弾けるピアノソロ クラシックを弾きたくて2
モーリス・ラヴェル(1875-1937)
【初中級アレンジ】亡き王女のためのパヴァーヌ
来年2025年に生誕150年を迎えるラヴェル。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」は明るいような暗いような、不思議な癒しを感じる曲として大人に人気です。
ただ、原曲そのままを演奏するのは難易度が高く、譜読みから苦労するかも?
それでも演奏してみたい初〜中級者におすすめしたいのは、轟千尋氏の編曲です。
音の数が少なめで弾きやすく、それでいてラヴェル独特の透明感を味うことのできる、素敵なアレンジです。
使用楽譜→きらきらピアノ 大人のピアノ名曲集クラシック レベルC
楽譜の紹介ではレベルCは『中級』となっていますが、実際はそこまで難しくはなく、初中級程度でしょう。
きらきらピアノおとなの名曲集シリーズは、最近発行された中で人気の楽譜です。現代的な響きの美しいアレンジが特徴となっています。
クロード・ドビュッシー(1862-1918)
【初中級アレンジ】夢/夢想
ゆったりした曲調と譜面の見た目から「ドビュッシーの曲の中では、弾きやすいのでは?」と思われることがありますが、かんたんなのは冒頭の部分だけ。
曲が進むにつれて、テクニック的にも音楽的にも難しくなるタイプの曲なのです。
原曲の難易度はおそらく中級〜中上級。
このアレンジでは、冒頭部分と最後の部分は原曲そのままです。途中から左手の伴奏、右手のオクターブを省略して、曲の中間部はカットされています。
原曲がまだキツイ(・_・;と感じる方は、まずこのアレンジからチャレンジしてステップアップを試すのも良いのでは?
使用楽譜→やさしく弾けるピアノソロ クラシックを弾きたくて2
ジョルジュ・ビゼー(1838〜1875)
【初級アレンジ】ハバネラ(恋は野の鳥)〜オペラ「カルメン」より
来年2025年に没後150年を迎えるビゼー。オペラ「カルメン」は、知らない人はいないほど有名です。
「ハバネラ」は、主人公カルメンが自分を逮捕した生真面目な騎兵ドン・ホセを誘惑する歌です。
自由が好きで気まぐれ、色気たっぷりのジプシー女のカルメン。オペラの最後には、仕事も恋も失ってストーカー化したホセに殺されます…
橋本晃一氏の編曲は、カッコイイおすすめの初級アレンジです。
使用楽譜→おとなのためのピアノ小曲集〜バイエルからツェルニー30番併用
【初級アレンジ】小さな木の実
オペラ「美しきパースの娘」の一曲に詞を付けたのが、小さな木の実。
1970年代のNHK「みんなのうた」で有名になりました。もしかすると、日本の歌のように思われている方も多いもしれません。
「ハバネラ」と同じおとなのためのピアノ小曲集〜バイエルからツェルニー30番併用に収録されています。
カミーユ・サン=サーンス(1835〜1921)
【中級アレンジ】あなたの声に心は開く〜オペラ「サムソンとデリラ」より
ビゼーの「カルメン」と同じように、デリラも『誘惑する女』。
英雄サムソンの心を奪う場面で歌われるのが、アリア「あなたの声に心は開く」。
策略が成功してサムソンの秘密をつかんだデリラも、色香に負けた怪力のサムソンも、悲劇的な最期を迎えます。
やはりファム・ファタール(運命の女)は、官能的なメロディと破滅がセットのようですね。
舞台の世界では強くて色っぽくて憧れますが、現実世界では近寄らないでおきましょうか…
編曲は藤井英一氏。中級アレンジです。
使用楽譜→ヤマハぷりんと楽譜ピアノソロ
【初級アレンジ】白鳥
組曲「動物の謝肉祭」より「白鳥」。チェロのレパートリーとして有名です。
原曲と同じト長調で、伴奏形がやさしく弾きやすいアレンジになっています。
使用楽譜→おとなのためのピアノ曲集 クラシック編1
レオ・ドリーブ(1836〜1891)
【初級アレンジ】コッペリアのワルツ
バレエを観たことのない人でも、曲のタイトルを知らない人でも、「このメロディは聞いたことがある」という方が多いのでは?
かわいらしいワルツで、おとなのためのピアノ曲集 クラシック編1の中でも人気の一曲です。
ジュール・マスネ(1842〜1912)
【初中級アレンジ】タイスの瞑想曲
もともとはオペラ「タイス」の間奏曲。ヴァイオリンのアンコール曲の定番となっています。
タイスは享楽的な高級娼婦。美しいだけでなく秘めた情念を感じるのは、そのためかもしれません。
原曲と同じニ長調、左手の伴奏はやさしくアレンジされて、右手のメロディはほぼ原曲のままです。最後は少しだけカットされています。
編曲は壺井一歩氏。
シャルル・グノー(1818〜1893)
【初級アレンジ】アヴェ・マリア
人気曲のアヴェ・マリア。
グノー、シューベルト、カッチーニ、マスカーニ、ブルグミュラーの5人の作曲家、おすすめアレンジを紹介した記事を書いています。
他のアレンジについては、こちらでどうぞ↓
使用楽譜→おとなのためのピアノ小曲集〜バイエルからツェルニー30番併用
ガブリエル・フォーレ(1845〜1924)
【初中級アレンジ】シシリエンヌ
「シシリエンヌ」「シチリアーノ」と言われることもあります。意味は、シチリア風に。
大人にぴったりのノスタルジーを感じる曲調です。
さまざまな難易度のピアノアレンジが出版されています。
こちらは原曲と同じト短調。簡単すぎず難しすぎず、初中級者におすすめのアレンジです。中間部はカットされた短めの編曲です。
使用楽譜→やさしく弾けるピアノソロ クラシックを弾きたくて1
ルイ=クロード・ダカン(1694〜1772)
【初中級】かっこう
今回取り上げたなかで一番古い時代の作曲家、ダカン。
「カッコウ、カッコウ」と、かっこう鳥の鳴き声が、右手からも左手からも繰り返し聞こえてきます。
バロックらしい装飾音が技巧的な曲です。
自分にとって「バロック時代の曲って、こんなにかっこいいんだぁ〜!」とはじめて感じたのは、ダカンの「かっこう」とCPEバッハの「ソルフェジェット」の2曲でした。チャレンジできた時は感激したものです。
ソルフェジェットは、こちらの記事で紹介しています↓
初中級〜中級レベルでチャレンジしたい、バロック時代の定番曲。原曲のままです。
使用楽譜→ピアノ名曲110選グレードA