ショパンの「別れの曲」は、大人のあこがれ曲の定番。
美しい旋律と想像をかき立てられるタイトル…ドラマや映画の中でも「別れの曲」の甘いメロディは数えきれないほど使われてきました。
原曲の演奏難易度は上級レベルです。
「別れの曲」はショパン本人がつけたタイトルではなくて、正式な曲名は『練習曲 作品10-3』。
練習曲として作曲されただけあって、難しい曲なのです。
人気曲なのでアレンジ楽譜もたくさん出版されています。むしろ多すぎて、自分にあったアレンジを選ぶのが大変かも?
というわけで、今回は難易度別おすすめアレンジを紹介します。
ピアノ初心者向けのハ長調の楽譜から、上級レベル(マニア向け?)まで、5つのアレンジを選んでみました。
【入門】おとなのためのピアノ曲集クラシック編1
人気のクラシック曲を、大人のピアノ学習者向けに弾きやすくアレンジしている「おとなのためのピアノ曲集クラシック編1」。
「別れの曲」と言えば誰もがイメージする、有名な冒頭部分のみのアレンジです。
簡単なハ長調アレンジで、左手は♪ドソミソや♪シソファソという基本的な伴奏となっています。
この形の伴奏形は、アルベルティバスと言います。「別れの曲」でアルベルティバスの基礎テクニックの練習もできるのです。
編曲は橋本晃一氏。
おとなのためのピアノ曲集についての記事は、こちら↓
【初級】きらきらピアノおとなのピアノ名曲集クラシックレベルA
左手の伴奏♪ドソミソではないアレンジが弾きたい!という希望であれば、こちらはいかがでしょうか?
「きらきらピアノおとなのピアノ名曲集クラシックレベルA」の「別れの曲」。
ヘ長調アレンジで、シにフラットがつきます。こちらも最初のメロディのみです。
左手の動きは最小限に抑えられていながら、おしゃれな響きのするアレンジです。編曲は轟千尋氏。
ただし左手の伴奏形をメトロノームがわりにできないため、リズムが苦手な方にとって拍の把握に苦労するかもしません。
使用楽譜→きらきらピアノおとなのピアノ名曲集クラシックレベルA
きらきらピアノシリーズは、音符が大きめで見やすいのも特徴のひとつ。大人にうれしいですね。
【初中級】おとなのためのピアノ小曲集
「おとなのためのピアノ小曲集〜バイエルからツェルニー30番併用」に収録されている「別れの曲」。
シャープ2つのニ長調。これまでに紹介した2つのアレンジよりも曲の長さは長めで装飾音符もあり、より原曲の雰囲気に近づいています。
演奏難易度の高い中間部をカットして、最初の部分と後半を上手くつなぎ合わせたアレンジです。
編曲は【入門】レベルで紹介した「おとなのためのピアノ曲集」と同じ、橋本晃一氏。
橋本氏のアレンジは気をてらわず質実剛健といったイメージ。ピアノ学習者の上達のための教本としておすすめしています。
使用楽譜→おとなのためのピアノ小曲集〜バイエルからツェルニー30番併用
【中級】原曲の楽譜を使ったショートバージョン
ピアノ中級者におすすめしたいのは、ショパンの原曲の楽譜をそのまま使ったショートバージョンのアレンジです。
「別れの曲」はA-B-Aで構成されています。よく知られた最初のメロディと比べて、曲の中間部分は2段階くらい難易度が高くなっています。
そのため難しい中間部をカットすれば、中級レベルであればチャレンジできるのです。
ランゲの「花の歌」を弾けるレベルの大人であれば、実力として十分です!
「花の歌」の動画や楽譜についての記事は、こちら↓
「別れの曲」ショートバージョンは、19小節まで演奏したあと難しい中間部はカットして、73小節に飛びます。
意外と誤解している人も多い小節の数え方の基礎知識です。「別れの曲」は4分の2拍子。最初は8分音符しかない不完全小節です。不完全小節はカウントしません。この最初の短い小節は数えずに、次の完全な長さの小節を1小節目と数えます。
赤字で書き込んだのが小節の数え方です↓
上の写真の楽譜はショパン エテュード作品10 ウィーン原典版ですが、原曲の楽譜でしたら、どれを使用しても良いでしょう。
こちらはYouTube動画は作っていませんm(_ _)m
【上級】ゴドフスキー編曲「ショパンのエチュードによる練習曲」
ゴドフスキーは、ショパンの練習曲をアレンジした作品を残しています。
『エチュード(練習曲)による練習曲』というだけあって難曲です!上級レベルであると同時にマニア向けです。
「別れの曲」は左手のみの練習曲としてアレンジされています。調はショパンの原曲のホ長調に対して、ゴドフスキー編曲は変ニ長調です。
右手を負傷したときに、中間部をカットしたショートバージョンのアレンジ(19小節から73小節に飛ぶ)で演奏しました。
左手のためのピアノ曲についての記事は、こちら↓
日本国内で楽譜を手に入れる手段がなかったため、ペトルッチ楽譜ライブラリーを使っています。