『バーナムピアノテクニックシリーズ』の難易度は、一見するとわかりにくいかもしれません。
一番やさしいのは「ミニブック」で次が「導入書」、そのあとは1→2→3→4と数字順。4でシリーズ修了となります。そのほか番外編として「全調の練習」という教本もあります。
今回の記事では、
- 大人の初心者は、最初の「ミニブック」からやる方が良い?
- ピアノ再開なら、どの教本から始めるのがおすすめ?
- それぞれの教本で、どんなレパートリーが弾けるレベルになれる?
- 「全調の練習」はどのタイミングでやるの?
- バーナムは、どの教本までやるべき?
など、よくある疑問に答えていきます。
全音楽譜出版社によるバーナムの難易度は?
全音楽譜出版社の楽譜の巻末には『難易度別教本・曲集一覧』が載っています。
この一覧によると『初級・第1課程』としてバーナム・ピアノテクニックのミニブック、導入書、1、2が記載されています。
そして、バーナム・ピアノテクニック3と4は『初級・第2課程』『中級・第3課程』『中級・第4課程』の一覧のどこにも見当たりません。
『上級・第6課程』までの6つのレベル分け、ほかの教本とのバランスを考えると仕方のないことですが…
ミニブックから2までの4冊が同じ難易度とは大雑把すぎて、バーナム教本別でどのくらいレベル差があって、どんな曲が弾けるようになるか?を考えるのには役に立ちませんね(^^;;
なので今回の記事は、全音の難易度表に基づいたものではなく、自分がレッスンで生徒さんの様子を見てきた実感として書いています。
1冊目「バーナムピアノテクニック ミニブック」
バーナムで1番やさしい教本はバーナムピアノテクニック ミニブックになります。
まったくの初心者がドレミから始めたいなら、ぜひここから始めましょう。ピアノの初歩のテクニックから身につけながら、楽譜の読み方にも慣れることもできます。
YouTubeに「ミニブック」全60曲の参考演奏を入れています。
使用楽譜→バーナムピアノテクニック ミニブック
この教本のレベルで『人前でレパートリーとして演奏できる曲』はまだ少ないのですが、はじめてのギロックのなかのアクセント・オン・ソロ1に収録されている曲は、最初のレパートリーとして最適です。
5曲目の「ハロウィンの魔法使い」。右手はドレミファ、左手はドシラだけで構成されているので、ピアノをはじめて間もない初心者さんでも無理なく弾けます。短調で少〜しだけ不気味で、なかなか面白い雰囲気を持った曲です。
使用楽譜→はじめてのギロック
レッスン頻度や練習時間によりますが、だいたいピアノを始めて3ヶ月から半年くらいで「ミニブック」が修了して「導入書」に入るというのが一つのモデルケースです。
2冊目「バーナムピアノテクニック 導入書」
ミニブックが修了すると次はバーナムピアノテクニック導入書です。
ピアノ独学で少しは経験があるのなら、ここからテクニックの基礎を身につけていくのが良いでしょう。
YouTubeに「バーナム導入書」全曲の参考演奏を入れています。
使用楽譜→バーナムピアノテクニック導入書
導入書レベルからは、弾ける曲の選択肢が広がります。
まずは引き続き「はじめてのギロック」から「さぁ、ワルツを踊ろう」。
使用楽譜→はじめてのギロック
ワルツらしい弾んだスタカートや黒鍵も出てきて、だいぶ曲らしい曲になりました。このレベルからは、少〜しだけ背伸びしたチャレンジ曲のレパートリーも試してみて良いでしょう。
おとなのためのピアノ曲集クラシック編1やおとなのためのピアノ曲集ポピュラー編1もおすすめです。この楽譜は難易度順に入っています。
収録曲より1曲ずつ紹介します。
チャイコフスキー「白鳥の湖」おとなのためのピアノ曲集クラシック編1
使用楽譜→おとなのためのピアノ曲集クラシック編1
ニーノ・ロータ「ロミオとジュリエット」おとなのためのピアノ曲集ポピュラー編1
使用楽譜→おとなのためのピアノ曲集ポピュラー編1
ほかの収録曲目など具体的に知りたい方は、こちらの記事をどうぞ↓
そのほか、欲しい楽譜を一曲単位でダウンロード購入できるヤマハぷりんと楽譜の入門レベルや初級レベルの楽譜から、お好きな曲を探してみても良いかもしれません。
ヤマハぷりんと楽譜【初級】ニーノ・ロータ「太陽がいっぱい」
使用楽譜→ヤマハぷりんと楽譜 ピアノソロ 初級 太陽がいっぱい「はじめてのギロック」以外の曲は、バーナムで学んだテクニックより難易度が上です。
大人の生徒さんは「背伸び曲と知っていても好きな曲で頑張りたい!」という傾向がありますので、希望曲ならば使っている教本レベルよりも少し難しめの曲でも弾けることが多いです。
無理のない範囲で時間をかけてチャレンジ!も良いですね。
3冊目「バーナムピアノテクニック1」
3冊目はバーナムピアノテクニック1です。
ここからは一段上のレベルになってきます。「ミニブック」「導入書」は数ヶ月でサクサク1冊修了してきた初心者も、ここから難しく感じることが多いかもしれません。
大人のピアノ再開でしたら、レッスンではこの「バーナム1」から始めるのをおすすめするケースが多いです。
「バーナムピアノテクニック1」全60曲です。
使用楽譜→バーナムピアノテクニック1
バーナム1のなかば頃から、定番教材のブルグミュラー25の練習曲にも手が届くようになります。
「ブルグミュラー25の練習曲」は基本的に難易度順です。第1曲目の「素直な心」から25曲目「乗馬」まで全曲やるのも勉強になりますが、気になった曲を抜粋していくのも十分アリです。
3曲目「牧歌」
使用楽譜→ブルグミュラー25の練習曲
4冊目「バーナムピアノテクニック2」
4冊目は、バーナムピアノテクニック2です。
ピアノ初心者の方には「バーナム2」修了を最初の目標にしていただきたいと思っています。と言うのは、この教本まで終わらせると、演奏できる曲の範囲がだいぶ広がるからです。
「バーナムピアノテクニック2」全曲演奏です。
使用楽譜→バーナムピアノテクニック2
このレベルになると自分が演奏したい曲、得意と不得意についても、見えてくるころでしょう。ここから先は決まったコース(教本や曲)をたどっていくより、興味を持ったところからレパートリーを広げていきましょう。
クラシックの有名曲を弾いてみたいならピアノ名曲110選グレードAがおすすめ。曲名を知らなくても「あっ!この曲どこかで聴いたことある!」と思うような初級の曲がたくさん入っています。
エルメンライヒ「紡ぎ歌」
使用楽譜→ピアノ名曲110選グレードA
収録曲目など具体的に知りたい方は、こちらの記事をどうぞ↓
バッハやフーガや興味があればプレ・インベンションはいかがでしょう?「いつかインベンションを弾いてみたい!」という目標があれば、ここからポリフォニー(多声音楽)になじんでいくのが定番のやり方です。
パッヘルベルの「フーガ」は、バッハの「インベンション第1番」によく似ていて、構造がシンプルです。
使用楽譜→プレ・インベンション
使用楽譜→インベンションとシンフォニア
オプションコース「全調の練習」「バーナムピアノテクニック3、4」
ここからはオプションコースになります。
ちょっと寄り道?「バーナムピアノテクニック全調の練習」
「バーナムピアノテクニック全調の練習」はタイトル通り、すべての長調と短調を弾いてみる練習曲です。レベルとしては「バーナムピアノテクニック2」と同じくらいと言われているようです。
レッスンで「全調の練習」に入るタイミングは、生徒さんの曲の好みや弾き方の癖によって、それぞれ変えています。
たとえば、ポップスの曲は初級レベルの曲でも、途中で転調するパターンがよくあります。「全調の練習」をやっておくと、たくさんのフラットやシャープの曲や転調にビビらなくなるかもしれません。白鍵と黒鍵のスムーズな移動の実践にも、役に立つ教本です。
こちらのブログ記事↓でもっと詳しく解説しています。
「バーナム全調の練習」(改訂版)全曲の参考演奏をYouTubeに入れています。
使用楽譜→バーナムピアノテクニック全調の練習
5冊目「バーナムピアノテクニック3」
「バーナムピアノテクニック3」からは中級レベルの入り口です。
YouTube動画も、あえて速めのテンポで弾いています。全60曲です。
使用楽譜→バーナムピアノテクニック3
6冊目「バーナムピアノテクニック4」
最終巻の「バーナムピアノテクニック4」はテクニック的にもだいぶ難しくなり、修了するのは時間もかかりますが、苦労するだけの価値があります。
余裕があればぜひ!
「バーナムピアノテクニック4」はチャレンジしている生徒さんが少ないため、今のところYouTubeに入れている演奏は抜粋のみです。そのうち生徒さんの進度に合わせて更新を再開するかも?
使用楽譜→バーナムピアノテクニック4
【バーナム難易度別、どんな曲が弾けるの?】まとめ
ざっくりとバーナムピアノテクニックシリーズと、教本の難易度別で弾ける曲のおすすめを書いてきました。
ここに取り上げた曲以外にも、バーナムレベルで弾けるピアノ曲はたくさん存在します。
うちの教室では「基礎からやり直したい!」との希望の生徒さんもいらっしゃるため、バーナムのレベルと他にレッスンしている曲のレベルが開いている場合も多いです(バーナム1で基礎テクニックをやりながらショパンやラフマニノフの曲を弾いているなど)
どのようなレベルになっても、バーナムで扱われているテクニックの基礎は実践的で役立ちます。
「早くバーナムを先に進めたい!」の気持ちも大切ですが、教本の進行スピードは大した問題ではありません。
テクニックと音楽性を着実に身につけて、自分が弾きたいピアノレパートリーを演奏できるようになりましょう。