【バーナムピアノテクニック全調の練習】で「黒鍵が苦手」を克服しよう!

バーナムピアノテクニック全調の練習 おすすめの楽譜、曲目

ピアノを練習していてこのような悩みはありませんか?

  • 黒鍵を弾くのが苦手
  • ♯シャープや♭フラットに苦手意識がある
  • はじめての曲の譜読みに時間がかかる

「バーナムピアノテクニック全調の練習」は、そんな悩み解消に効果的なピアノ教本です。

今回は「バーナムピアノテクニック」シリーズの番外編「全調の練習」まるごと一冊、最大限に使いこなすためのポイントをYouTube動画を入れながら解説します。

「バーナムピアノテクニック全調の練習」の特徴と難易度

バーナムピアノテクニック全調の練習(改訂版)は、すべての長調と短調の音階、その調の短い曲を弾いてみよう!がコンセプトの教本です。

初心者がこれだけ簡潔に全調を練習できるピアノ教本は、ほかにありません。理論は最低限だけです。身体で覚えて自然に弾けるようになるための実践的な内容になっています。

一番かんたんなハ長調から始まり、ページを進むごとに調子記号が一つづつ増えていきます。最終的には♭7個と♯7個の調(音階すべての音に♭もしくは♯が付いている!)まで練習することになります。

全音楽譜出版社によると「バーナムピアノテクニック全調の練習」は「バーナムピアノテクニック2」と同じレベルとなっていますが…

実際は「全調の練習」の教本の最初(ハ長調)と最後(変イ短調)では、難易度にそこそこの差があります。

譜読みが早い人は「音階練習」の経験があるから

シャープやフラットの調子記号が多い曲の譜読みは大変!と思っている方も多いかもしれません。

楽譜を読むのに苦労する理由は、音階練習をしていないからです。

たとえば次の楽譜↓を見たときに「黒鍵になるのがドとファとソ…ということは最初のミは白鍵、次のドは黒鍵、レはえっと(・Д・)」なんて音をひとつひとつ確認していないでしょうか?

このやり方では無駄に時間がかかり、曲を音楽的にとらえることもできません。

あらかじめ自分の弾く曲の音階練習をしていると、調子に固有の音がわかってきます。頭の中のスイッチを調子に合わせて、自在にチューニングするようなイメージです。それによって楽譜を読むスピードが早くなるのです。

バーナムピアノテクニック全調の練習は、譜読みを早くするのにも効果的なのです。

調子記号は左から右へジグザグに読むようにしましょう。♯3つの場合「ドとファとソ」ではなく「ファとドとソ」と考えます。♯はファ+ド+ソ+レ+ラ+ミ+シと増えていくのが規則だからです。

『黒鍵が苦手』の初心者さん、よくある質問2つ

なぜ白鍵だけでなく黒鍵があるの?

ピアノを始めたばかりの生徒さんから、ときどき出る質問です。

生徒さん
生徒さん

どうして鍵盤には白鍵だけではなく黒鍵があるのですか?黒鍵も2つ並びと3つ並びがあるのは何故ですか?

その質問に私がどう答えているかと言うと…

もしも鍵盤が「白鍵だけ」とか「黒鍵が均等に並んで」いたら、どこがドの位置なのか分からないですねぇσ^_^;

ピアノの鍵盤は『黒鍵が2つ並びのところと3つ並びのところがあるから、ドレミが見分けられる』のです。しかし、黒鍵が存在する大きなメリットは他にもあります。

人間の指の長さは5本とも違います。鍵盤が立体的なほうが楽で自然に弾けるのです。

鍵盤に段差があるのは、手の構造にとても良く合っているのです。

なぜ調子によって運指が違うの?

もう一つよくある質問としては、

生徒さん
生徒さん

どうして調によって指使いが違うの?同じなら覚えるのが楽なのに…たくさんあって覚えられない〜(>_<)

そうですよね。最初に学ぶハ長調では右手は1の指から、左手は5の指から始まるのに、そうではない調子もあって戸惑いますよね。

この教本で最初に苦労するのは「車を洗おう」のロ短調でしょう。右手は1の指からなのに、左手は4の指からです。

運指の違いには理由があります。

短い親指(1の指)は白鍵、長い指(2,3,4の指)で黒鍵を弾いたほうが手の構造に合っていて自然なのです。それぞれの調子の運指は、指の特徴と白鍵と黒鍵の並びによって考えられています。

もしもロ短調の音階で左手5の指(小指)から始めてしまうと、シドレミファのファ♯の黒鍵に1の指(親指)がきてしまって、とても弾きにくいです。4の指から始まるのは、それを避けるために合理的に考えられた運指なのですね。

次は、効率的な練習方法と進めかたについて説明します。

「バーナム全調」効果的な練習のすすめ方

まずは1オクターブの音階から慣れよう

「バーナム全調の練習」では、長調が左ページに、同じ調子記号の短調が右ページに並んでいます。この関係を『平行調』(へいこうちょう)と呼びます。

音階から練習しましょう。音符の上の数字は右手の指番号、下に書いてあるのは左手の指番号です。左手は楽譜の実際の音よりも1オクターブ下で練習しておくと、両手で練習するときに都合が良いです。

おすすめの練習方法の順番は、右手のみ→左手のみ→両手です。

YouTube動画「タイプを打とう」(嬰へ長調)の音階と「手で書こう」(嬰二短調)の音階を載せます。♯6つと黒鍵が多い音階ですが、短い親指(1の指)は白鍵、長い指(2,3,4の指)で黒鍵という音階の基本がわかりやすく実践された指使いです。

本当は楽譜の順番通りにハ長調から学習してくださいね(^_^)

バーナム全調の練習「嬰ヘ長調の音階」
バーナム全調の練習「嬰ニ短調の音階」

長調の音階は1種類、短調は和声短音階と旋律短音階の2種類です。旋律短音階は行きと帰りの音が違うので混乱しやすいです。最初はその難しさに戦慄:(;゙゚’ω゚’):するかもしれません…

両手で違う指使いを同時に弾くことは大変で、身につけるには時間がかかります。すぐに出来ないのがふつうです。少しづつ指になじませていきましょう。

ちなみに、嬰は「えい」と読む珍しい漢字です。ふだん音楽用語以外では使うことはありませんね。

曲を音楽的に演奏してみよう

音階練習に続いてイラストの下の短い曲を練習します。曲のタイトルとイラストを参考に、表情豊かに演奏してみましょう。

左ページの長調と右ページの短調は、似たようなテーマで対照的な曲になっています。

楽譜には演奏のヒントとして「タイプを打とう」は(かるくはぎれよく)、「手で書こう」は(くつろいで)と演奏のヒントが書かれています。

2曲でガラッと雰囲気が変わると面白いですよね。ぜひ自分なりのイメージで弾いてみましょう。

バーナム全調の練習「タイプを打とう」かるくはぎれよく
バーナム全調の練習「手で書こう」くつろいで

棒人形のイラストがアニメーションとして動いて、そのバックにどんな音楽が流れていたらピッタリだろうか?と想像しながら弾いています。考える過程もなかなか楽しいですよ。

音階をスムーズに弾くコツは?

「音階の指使いには慣れたけれど音がガタボコしてしまう、スムーズに弾けない( ; ; )」という悩みの場合は、次のことに気をつけてみましょう。

  • 鍵盤の奥のほうも上手に使えていますか?
  • 白鍵は鍵盤の手前、黒鍵だけ鍵盤の奥を弾く癖が付いていませんか?
  • 指くぐりの時に手首が不自然にガタガタ動いていませんか?

手の動作がガタボコすれば、音も凸凹してしまいます。

それぞれの指の長さに合う鍵盤の打鍵の位置に気をつけてみましょう。手が自然な動きになれば、音階もスムーズに演奏できるようになります。

ハノンピアノ教本で本格的な音階を練習しているレベルの人でも、実は音がきれいに揃っていないことがあります。

まずは「バーナム全調の練習」を使って、ゆっくり丁寧に打鍵の位置を指のスムーズさを身につけるのが、上達への近道です。

実際の曲に役立てる練習方法

「バーナム全調の練習」は理論よりも実践の教本なので、もっと楽典の知識を身につけたい、知っておきたい方ならば他の本で勉強する必要があります。今回のブログ記事の目的も「ピアノをより楽に弾けるようになる」なので、理論的なことはあまり解説していません。

それでも、次の3つのことは知っておいたほうが良いでしょう。異名同音、平行調、同主調です。

異名同音の音階

ドの♯とレの♭は同じ黒鍵、レの♯とミの♭も同じ黒鍵です。これを異名同音と言います。

「バーナム全調の練習」にも、音の見た目と言い方は違うけれど実際に弾くことになる鍵盤は同じ、という音階がいくつかあります。たとえば「ミシンでぬおう」のロ長調と「陽気にひこう」の変ハ長調です。

他にも異名同音の調子があります。ぜひ探してみてくださいね^_−☆

ブルグミュラーで「全調の練習」を実践

次に平行調と同主調について、そして「バーナム全調の練習」で2つの音階を対比して練習するメリットについて解説します。

平行調も同主調も近い親戚の調子であり、1曲の中で行き来することがよくあります。実際の具体例を見てみましょう。

平行調を使った曲:ブルグミュラー「別れ」

平行調とは、同じ調子記号を持つ長調と短調です。全調の練習では見開きで並べられています。たとえばハ長調とイ短調、ト長調とホ短調の間柄が平行調です。

ブルグミュラー25の練習曲の「別れ」は平行調の移調を使って、イ短調→ハ長調→イ短調で構成されています。中間部で雰囲気が一瞬明るくなります。

ブルグミュラー25の練習曲より「別れ」ペダルなし、少しゆっくり

音階練習では「バーナム全調の練習」のページ左右にある平行調を、連続して練習してみましょう。こうした曲で平行調の移調が出てきたときに、スムーズに弾けるようになります。

同主調を使った曲:ブルグミュラー「バラード」

もう一つ知っておいて欲しいのが同主調です。

同主調は同じ主音を持つ(音階の最初の音が同じである)長調と短調です。「バーナム全調の練習」では左右に並んでいません。そのため自分で探さなければいけませんが、ハ長調とハ短調、ト長調とト短調、ニ長調と二短調など最初の音が同じなので、一目瞭然だと思います。

ブルグミュラー25の練習曲の「バラード」は同主調の移調でハ短調→ハ長調→ハ短調で構成されています。ハ長調からハ短調へ戻る時の劇的な変化が聴かせどころでしょう。

ブルグミュラー25の練習曲より「バラード」ゆっくり、ペダルあり

使用楽譜→ブルグミュラー25の練習曲

「全調の練習」は辞書のように長く使える教本です

「ハ長調の音階」→「スーパーマーケット」→「イ短調の音階」→「床屋」の楽譜の順番で、YouTubeに全64曲の演奏を入れています。

使用楽譜→バーナムピアノテクニック全調の練習(改訂版)

「バーナムピアノテクニック全調の練習」は最後まで終えたらおしまい!のテキストではなく、辞典がわりとしてずっと活用できるお得な教本です。

練習している曲に合わせて音階練習をするのは、曲をスムーズに弾けるようになる効果があります。

ブルグミュラー以外でも、自分が練習している曲が何調なのかを「全調の練習」で探して、同時に練習してみるのをおすすめします。

もし長調か短調かわからない(*_*)と迷った場合は、レッスンで気軽に聞いてくださいね。

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